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> BOOK_M.GIF - 768BYTES機動戦士ガンダムΣ
第一章 ペルセウス浮上

> ここはセルス、最近になって造られたコロニーだ。短時間で作られた為、他のコロニーより小さい、住民も多いとは言えない。このコロニーは連邦軍が移動するにあたっての経由場所として重宝されている。このようなコロニーは反乱の標的ともされやすい・・。
 
 「やべーーーー!遅刻だぁぁぁ!」
少年が慌しく目を覚ました。彼の名前はアスフ・クローラー。彼の朝はいつも騒々しい。
「あぁ畜生、昨日用意してなかった・・・」
そういうとアスフは何も持たずに家から駆け出した。
 「なんだ?今日もあいつは遅刻か?誰か知らんのか、ウスリーお前知らんか?」
先生が呆れ顔で言う。もはやアスフの遅刻は当たり前だった。
「えぇと・・わかりません・・」
 ぼそぼそと答えた彼はウスリー・ハイデラ。彼はぼそぼそ喋る癖がありそこが気に食わないという理由でアスフにいつも『しゃっきりせんかい!』と怒鳴られている。
「じゃあ、セリア知らんか?」
先生が少女にも聞く。 
 彼女はセリア・ルース、アスフと幼なじみで仲がいいとカン違いされているが実はいつもケンカばかりだ。
 「知りません先生」
セリアが言った。そのときだった。
「おはよう皆さん!」
教室の後ろ側にアスフが立っていた。
「また遅刻か!アスフ!」
今日も怒鳴り声が鳴り響く。
 
 「あれの起動準備はできたか?」
連邦軍人の口が開いた。ここはセルスの連邦軍基地。

「はい、準備はできているようです。」
若い軍人が言った。二人の軍人は同時に目の前の戦艦を見上げた。
 連邦が次々と戦艦やモビルスーツを開発するのも各地で起きる反乱を鎮圧し牽制するためだ。今の時代でも連邦軍のやり方を嫌う人々はたくさん居る。そのような反乱をなくすために出来たのが連邦軍監視組織バルマである。バルマのメンバーは各コロニーから代表が決められ一年に六回地球に集まり討論をする。その模様は全宇宙に放送されている。しかし、各コロニーの反乱というものは止まらなかった。結果バルマの存在意義が失われつつあった。 
 「グング・トロ、グング・トロに一票お願いしまーす」
学校の教室にも聞こえる大きな声だった。
「うるっせーな、ったく!」
いつものように眠っていたアスフは苛立った顔で窓の外を覗き込んだ。
「俺がぐっすり快眠してたってのに・・・トロのじじいめ!」
アスフが機嫌悪い所に隣のセリアが話掛けた。
「今の時期はバルマの代表員選挙の時期でしょ、あんた去年も同じこと言ってたわよ」
「あぁ、もうそんな時期か・・。ま、どうせ当選すんのはザリオン市長だろ」              アスフの言うザリオン市長はバルマ結成のときからメンバーに入っており今までの選挙も全てザリオン市長が勝っている。昔の戦争でも活躍したことがあり、セルスの市民だけでなく全宇宙の人々から支持をうけている。
「市長が受かるなんて、わからないじゃない、バルマなんて意味ないって言われ始めてるし」
「じゃあお前はグング・トロに投票しろよ」
アスフはからかったような言い方だった。
「なんで私があんなのに投票しなきゃならないのよ!」
セリアが教室に響くくらいの音で怒鳴った。もちろんクラスメートはセリアに焦点を合わせた。
「す、すいません・・・」
セリアが謝ると同時に教室が笑い声で溢れた。しかし、この数分後には笑いを浮かべることができない状況になっていようとは誰も知らない。

 アスフはもう一度寝ようとしたがどうしても眠れなかった。しかたなくいつも大事にしているラジオを聴くことにした。
 先生の見てない隙にスイッチをいれ、静かにラジオに耳を傾けた。しかし、ラジオからはノイズ音しか聞き取れない。
「あれ?なんか調子悪いな・・・」
アスフはラジオをいじったが何も変わらない。
「コイツも限界きたのか?」
アスフがラジオを諦めスイッチを消そうとしたその時だった。
「緊急速報です!たったいまポルドマにモビルスーツが降下し大変なさん・・・」そこでラジオは途切れた。
 アスフは自分の耳を疑った。
「ポルドマってセルスと同じ時に作られたコロニーじゃないか・・」
アスフは連邦軍人だった父と一緒にポルドマに行った事があった。そして知っていた。ポルドマは連邦軍の移動の経由場所として重要な役であることを、そしてこのセルスもまた重要であることも。
 アスフは落ち着きを失い始めていた。汗が頬を伝ったのを感じた。
“何でこんな大事件なのに街はいつものように静かなままなんだ?”
 ふと気づいた。これほどの事件ならもうとっくに宇宙中に情報が回ってもいいはず。この疑問を考えてるうちに昔父に教えられたことを思い出した。
 『いいかアスフ、敵を倒すにはまず準備を怠ってはならない。下準備が重要なんだ。まずは敵が仲間を呼んだり出来ないように通信網を狂わせるんだ』
“それだ!隠密にことを進めるために情報操作をしているにちがいない。電波の進行方向を曲げてしまう装置も開発されてるなんて噂も聞いたことがある・・。それの電波をたまたまオレのラジオが捕まえた・・”

信じがたいような話だがアスフはラジオから流れたあの音声が耳を離れなかった。
 「先生、トイレ行きたいです。」
とりあえず教室を出た。
「ええと・・・これからどうすれば・・・・・・。」
なんで教室を出たのかももはやわからない。だが足は動いた、ただ玄関に向かっていた。だが遅かった。
ズドォォォンッッッ・・・!
大地を割るような地響きが鳴る。
“まさか”
アスフの頭に最悪の展開がよぎった。
 アスフは急いで窓から景色を見た。連邦軍駐留基地から煙が立ち込めていた。
「や、やばい・・・」
恐怖が体を支配したかのようにア然と立ち尽くした。まもなく学校中から悲鳴が溢れ出た。生徒たちが教師の静止を振り切り逃げ惑った。街でも人々が状況を把握したらしく悲鳴が聞こえる。アスフもすぐに逃げまどう人並みに持っていかれた。
 いつの間にか外にまで体は流されていた。アスフは必死に体を動かし人ゴミから抜け出した。
「やばい・・みんな混乱してる・・」
混乱を止めなければいけないとわかっていた。だがもはやそれは不可能である。たとえ誰が何を言おうともはや絶対に。
 「何だ!?ありゃ!」
人ごみから声がした。その言葉を聞き取った人だけが上を見上げる。そこに見えたのは間違いない、モビルスーツの降下ポッド。それもひとつじゃ無い数十という数だ。
「どうしろってんだ・・・おい・・」
恐怖を通り越し死が迫っているとまでアスフは感じ取った。
 「アスフッ!アスフッ!」
聞きなれた声がした。セリアだ。人ごみから離れたところに立ちすくんでいたアスフを見つけ、声を掛けた。
「何やってんのよ!早く逃げるわよ!」
聞きなれた声を聞いたおかげだろうか足の震えが止まった。
「お、おう」
言われるがままに二人は走り出した。
「脱出ポッドに乗らねぇと・・・」
アスフが言った脱出ポッドはセルスの各地に配備されており、緊急時にそれで脱出することができる。今二人はそれに向かって走っている。
 「きゃぁぁぁぁぁぁ!」
人の悲鳴がさらに大きくなった。何事かと思った二人は後ろを向いた。
「やばい・・・・はやく行くぞ!」
アスフがセリアの手をグイと引っ張った。悲鳴の理由は無数のモビルスーツが街に降り立ったからだ。見たことの無い機体で手に持ったビームライフルで街を焼き払い始めていた。

 「うぅ・・・・一体何が・・・」
セルスの連邦軍基地で一人の男が目を覚ました。男の名はリブル・ロメット、二十八という歳で大尉に上り詰めた。
 リブルはあたりを見渡した。煙が充満して視界が悪い。少し歩いて行くと足が何かにつまずいた。
「うっ・・!」
死体だった。爆発でほとんどの兵が生きてはいなかった。リブルはたまたま爆発から生き延びた。
「誰かいないのか!?」
リブルの声があたりに響く。暗く薄暗い雰囲気はさっきまで活気があったとは思えない。
 「お〜い!」
近くから声がした。生き残りが居たのだ。リブルは急いで声の方へ走った。そこには数人の兵が集まっていた。
「生き残りはコレだけか?」
思わずリブルの口が開いた。
「はい、探しましたが・・・」
若い兵が声を震わせた。生き残った兵はみな若く、下っ端であることは一目瞭然だ。
「私はリブル大尉だ。今から私が指揮をとろう・・」

リブル自信もこんな状況で指揮をとったことなんてない。しかし、今新兵を指揮できるのは自分しかいなかった。
 「そこの二人!」
リブルが端にたたずんでいる兵に言った。
「二人で外の様子を見てきてくれ!爆弾をセットした犯人がいるかもしれない、周りは警戒するんだ」
「は、はい。わかりました」
そういうと二人は外に向かって走っていった。
「もう一度回りを探索する、二組に分かれよう」
そう言うとリブルは二つチームを作り周りを探索した。
 見れば見るほどひどい惨状だった。先ほどまで話をしていた兵が倒れていた。リブルは嘔吐感に襲われた。
「誰がこんなことを・・・・・!!」
一通り回りの探索を済ませたところで外を視察してきた二人が帰ってきた。額には汗がしたたり落ちていた。
「た、たいへんです!街に・・・街にモビルスーツが!」
その一言で兵の顔がこわばった。
「く・・!反乱なのか!?・・・ここでモビルスーツに乗れるものはいないか!?」
リブルの言葉に誰も反応しなかった。ここにモビルスーツに乗れるものは誰も居なかった。
「くそ!どうすれば・・・!」
悩むリブルの頭に一つのものが浮かんだ。
「これしかない・・・・・・。皆これから私についてきてくれ!」
 リブルは兵を従え地下へ降りた。地下には扉があった。しかしその扉は完全に破壊されていた。
「これは・・・・・みんな敵のいる可能性が高い注意しろ!」
兵の緊張が高まる。中に入ると今まで見たことの無い戦艦が姿を現した。
「こいつは秘密裏に開発されていた新造艦だ。名前はペルセウス」
リブルは静かに説明した。
「整備の者がいるはずなんだが・・・・」
そう言うリブルの周りに整備をしていたであろう人達の死体が転がっていた。
「やはり・・・爆発での死じゃない・・・銃で撃たれている・・・・・」
今この場所に敵がいることを確信した。リブルは静かに銃を構えた。
「音を立てるなよ・・・戦艦の中に入る・・」
静かに心臓の鼓動が高鳴っていた。リブルは周りを注意しながらコクピットに向かった。
 コクピットの近くに行くと人の気配がした。リブルの集中力が研ぎ澄まされる。
「今から扉を開ける、準備はいいな」
若い兵たちも覚悟を決めた。
「三・・二・・一・・・行くぞ!」
 掛け声と同時に扉が開いた。扉の中に見知らぬ人間が四、五人いた。リブルは瞬時に銃を向けた。
「動くな!武器を置いて手を上げろ!」
相手は一瞬のことで反応が出来なかった。全員が武器を置いた。
「貴様らか、爆破の犯人は!」
リブルの問いかけに誰も答えない。皆リブルを睨んでいる。
「あいつらを拘束すんだ!」
 兵たちが犯人たち一人一人を拘束した。リブルはコクピットを見渡し犯人たちが何をしようとしてたか考えていた。すると通信士が座る場所に設置してあるモニターに艦内の地図が写しだされていた。リブルはやつらが何かを探していることに気づいた。そしてリブルはその『何か』に心あたりがあった。
「そうか・・・貴様らアレを破壊・・いや・・・持ち出そうとしていたな・・!」
リブルの言葉に犯人たちがピクリと反応した。
「やはり・・・。こいつらを官房へ!残ったものは艦内の見回りだ。艦内にある中央動力管理室の中には決して入るな。空いてる形跡があれば私に連絡しろ」
そう言うと兵は一斉に散らばった。リブルは数人兵を残した。
「今から私が指示するようにやってくれ!こいつを・・・ペルセウスを出す!」

 火の海になりつつあるセルスでアスフとセリアはひたすら走っていた。
「ここを曲がれば脱出ポッドがあるはずだ!」
言葉の通りそこには小さな建物があり、エレベーターがある。そのエレベーターで地下の脱出ポッドに向かうのだ。
 アスフは急いでエレベーターのボタンを押した。だが反応が無い。
「どうなってんだ!?早くしろよ!」
すると横のモニターに人の顔が映った。
「あんた!中にいるのか!?ならここを空けてくれよ!」
アスフの言葉に男は少し沈黙していった。
「すまない・・・・ここはもう入れないんだ。他に行ってくれ・・」
そう言うとモニターは遮断された。
「おい!まてコラ!クソ!」
落胆するアスフにセリアが声をかけた。
「しょうがないじゃない!まだポッドは近くにあるからそこに行きましょう!」
「・・そうだな・・!」
 二人はまた走り出した。モビルスーツがどんどん町に降下して来るのが分かった。走ってる最中にも地響きが鳴り止まない、悲鳴が鳴り止まない。
 「確かあそこにもう一つあるはずよ・・!」
セリアが指差す方にポッドがある。アスフも一瞬気が緩んだ。だがそれも一瞬でしかなかった。
 そこにはもう何も無かった。一面焼け野原でポッドがあったかすらもわかりやしない。二人はそこに崩れ落ちた。
「そ、そんな・・・・・」
もうこんな言葉しかでない。二人とも『死ぬ』と思った。

その時、後ろから声がする。
「君達!何をしているんだ!早くこっち来なさい!」
どこかで聞いたことのある声。アスフが後ろを振り向くとそこにはセルス市長、バルマのメンバーでもあるザリオン・ロビアがいたのである。
「早く来るんだ!そこは危ない!」
二人は言われるがままロビアのもとへ走った。
「さぁ、中へ」
ロビアの後ろには車があり、そこへ二人は乗り込んだ。
 町を背に車は走り出した。
「何であんなところにいたんだ?」
「ポッドを探してて・・・・・」
セリアが言った。
「ふむ・・そうか、今から私の家のポッドに向かうところだ。君たちも乗るといい」
 車はスピードアップして行く。しかし、少しすると車は急ブレーキをかけた。
「どうしたんだ!?」
アスフの口から不意に出た。
「道がふさがっている・・」
ロビアの言う様にに目の前に建物の残骸が崩れ落ちていた。
「走るしかない・・君たち、車から降りるんだ、走って行くしかない」
 三人は車を乗り捨てた。しかし目の前にはあのモビルスーツが迫っていた。モビルスーツは確実に三人に向いていた。
「けけけ!おい!あそこに三人見っけたぜ!どうするよ、ヘイデン!」
「殺せ、生き残りはいらないという命令だ」
男の声は冷酷そのものだった。
「いや、それがその一人どっかで見たなと思ったら、あのザリオン・ロビアだぜぇ!」
「ザリオン・ロビア?そうか、なら直々に殺してやろう・・抹殺リストになっていたからな」
二体のモビルスーツが三人に向かってきた。
「まずい、こちらに向かってきてる・・・!」
ロビアは危険を察知した。とっさに逃げ道を探した、だがどこにもそんなものは無かった。しかし、ふと視界に連邦軍の基地が視界に入った。
“もしかしたら・・”
ロビアの頭に考えが浮かんだ。
「二人ともこっちへ!急いで!」
ロビアは二人を連邦軍基地へ通じる道へ走らせた。道の先にはトンネルがある。その先に基地があるのだ。
「けけけ!そっちに逃げてどうするつもりだぁ!?ハハハ!」
男の乗るモビルスーツはまるで狩りをするかのごとく三人を追い詰める。
「あまり遊ぶな・・さっさとロビアを殺せ。目の前で死を確認しろとの命令だ・・!」
ヘイデンが男に命令した。
「まぁまぁ、もうちょっと・・!」
 男達の会話の間にも三人はトンネルに入ることができた。
「こんなところに入っても時間の問題じゃねーの!?」
アスフが息を切らしながら言った。
「いや、ここには基地の前にでられる下水が通ってる。まずはそこに」
「でも、基地に行ってももう・・・」
今度はセリアが返した。
「いや、私に策がある、成功する可能性は低いが・・今はコレしかない・・!」
アスフとセリアはロビアを信じて下水の入り口を探し始めた。
 外では男のモビルスーツがトンネルの出口で待ち構えていた。
「早く出て来なぁ・・・俺様が抹殺するぜぇ・・・」
「貴様の遊び癖にはあきれるな・・・時間ももうあまりないというのに・・・・邪魔なヤツだな・・」
二人は知らない、三人が地下を通って基地に向かっていることを。
 三人は今まさに地下にいた。薄暗く湿った感覚は惨劇を今まさに目撃した相乗効果で地獄にも見えた。
「・・ここだ、この上が基地前に通じているはずだ・・」
ロビアが見上げた先に出口らしきものがうっすら確認できた。三人はロビアを先頭に出口へ上って行った。
「大丈夫なようだ・・・。さぁ、上へ!」
安全を確認し、三人は地下から出て来た。
「基地の中へ!急いで!」
ロビアは二人を基地内部へ引き込んだ。
 中は爆発の衝撃でめちゃくちゃで、軍人が倒れ込んでいた。
「こっちにあるはずだ・・・・!」
ロビアが向かった先は格納庫だ。だが中はもちろんめちゃくちゃでモビルスーツもほとんどが大破していた。
「くそ!やはりすべて破壊されているか・・・」
ロビアの言葉にアスフが反応した。
「もしかして考えってモビルスーツで戦うこと・・だったの?」
「いや、モビルスーツの通信機能で彼らの破壊行為を止められればと・・・。最悪モビルスーツで逃げれるしね・・だがこの有様では・・」
 三人に残された道が閉ざされた。アスフも今回ばかりは駄目だと思った、だがそのアスフの目にひとつのものが写った。いかにも頑丈そうな扉である。
「あれ・・もしかしてあの先も格納庫じゃ?」
アスフは走ってその扉を確かめに行った。扉は爆発の衝撃でロックが機能していなかった。アスフは扉を思い切り蹴った。扉は重そうな音を立てながら倒れた。導かれるように中へ入ったアスフの目に一体のモビルスーツが映った。アスフはモビルスーツに見覚えがあった。
「こいつに似たのを本でみたことある・・。こいつは・・そうだ・・・ガンダム・・・!」
アスフの前に白い機体、ガンダムが姿を現した。
「こ、これは・・・驚いたな・・・こんな物があるとは・・」
ロビアもガンダムから放たれる威圧感を感じ取った。
「これなら動かせそうだ、こいつに乗ろう!」
ロビアが先頭をきってコクピットのハッチを開けた。
 中はまさに最先端技術の結晶といってもいい程の物だった。コクピットを見たこと無いアスフやセリアですらそれがわかった。
「君たちも中へ!」
三人はコクピットに乗り込んだ。さすがに三人入るとコクピットも狭く見える。
「動かし方分かるんですか?」
セリアが不安気にロビアに聞いた。
「昔はモビルスーツ乗りだったからね・・だが、今の機体は難しいな・・・・・・」
ロビアは機体をいろいろいじったが一向に動かない。
「・・ここじゃないですか・・・?」
アスフが見かねてボタンを一つ押した。目の前のモニターに文字が並び始めた。文字は始めにGANDAMの言葉を作り最後にΣの記号が現れた。
「ガンダム・・・・シグマ・・・」
アスフが小声で呟いた。そして次の瞬間ロビアが叫んだ。
「よし、起動だ!」

 「早く出て来いやぁぁぁぁぁ!」
外では二体のモビルスーツが未だにトンネルを包囲していた。
「トンネルぶっ壊して殺してやる・・・!」
モビルスーツがビームライフルを向けた。
「やめろ・・・!死を確認しろと言ったはずだ・・。さっさとそれを下ろせ・・お前が死ぬことになるぞ・・」
「だけどよぉ!もう十分は経ってるぜ!ったくよぉ!」
「確かに・・おかしいが・・・まさか・・」
ヘイデンは連邦軍基地に目をやった。
「・・・・・考えすぎか・・・いや・・・・ここは貴様に任せるぞ・・!」
 ヘイデンは連邦軍基地に少しずつモビルスーツで近寄った。その時だった。基地内部から何か音がする。そして瓦礫から姿を現した機体にヘイデンの目は釘付けになった。
 瓦礫にたたずんでいるのは紛れも無い、ガンダムなのだ。
「ガンダム・・・・なぜこんな基地に・・・・!」
トンネルで待ち構えていた男もガンダムに気づいた。
「おいおい・・ありゃガンダムじゃあねぇかよ・・・」
もはやセルスに降り立ったモビルスーツ全てがガンダムを見ていた。
「今セルスを攻撃している反乱軍に告ぐ!今すぐ攻撃をやめなさい!」
ガンダムから声が響いた。ロビアの声だ。
「この声・・・ザリオン・ロビアか。ちょうどいい・・殺しやすくなった・・・」
「待てよヘイデン!あいつはオレに任せなぁ!」
 男のモビルスーツがガンダムに突っ込んで行った。
「く・・・っ!やはり言っても無駄か!」
反乱軍の説得をロビアは諦めた。
「逃げるぞ!しっかりつかまって!」
ロビアがコクピットのレバーを手前に引いた。ガンダムの背中のブースターが火を吹いた。瞬く間に機体はその体を浮かした。
「すごい推進力だ・・・!、出力が違う・・!」
機体はすぐにトップスピードに乗った。相手のモビルスーツも動きについていけない。
「なんつうスピードだ・・!、くそがぁ!」
男のモビルスーツが手のビームライフルをガンダムに向けて発射した。ビームがガンダムの横をかすめていった。
 ロビアはコロニー脱出を計っていた。しかしそれももはやあの男に読まれていた。
「よもや逃がすとでも・・・・?」
気づくとガンダムの横にヘイデンのモビルスーツが迫っていた。
「な・・・速い・・!」
かつて軍人だったとはいえ昔ほどの力はロビアにはなかった。ヘイデンもそれを悟っていた。
 「死ね・・・・!」
ヘイデンの声とともにモビルスーツの手にしている巨大なバズーカ砲は火を吹いた。バズーカは正確にコクピットに命中した。
「抹殺完了だ・・・・・」
ヘイデンは勝利を確信したのだ。だがすぐに信じられないものを目撃した。
 ガンダムだ。ガンダムが傷ひとつ付かずに落下していったのだ。
「バカな・・・都市殲滅用の武器で撃ったはず・・・・ふん・・・・ならばビーム武器で消し去るのみ・・・!」
ガンダムは轟音をあげて墜落した。コクピット内に衝撃が走った。三人は衝撃に耐えられず壁に激突した。
「う・・・・みんな無事・・か?」
アスフの声に二人は答えを返さなかった。二人とも意識が無かった。壁に打ち付けられ血も出ていた。
「そ、そんな・・・・」
そうこうしているうちに敵が近づいていた。
「ヘイデン!オレにやらせてくれよ!一度ガンダムをぶっ壊したかったんだ!ガハハハ!」
「・・・・くだらん勝手にしろ、どうせヤツはもう起き上がれん・・・」
「じゃあもらうぜ!覚悟しろよぉ!ガンダムゥッ!」
男がモビルスーツでガンダムに歩み寄った。そしてビームサーベルを振り上げた。その瞬間だった、ガンダムが叫ぶかのような起動音をあげて起き上がった。
 今ガンダムを動かしているのはロビアではない、アスフだ!もちろんアスフにはパイロット経験なんてなかったがなぜかわかったのだ、『たまたま』?いやちがう『本能』?否、それ以外の何かがアスフを動かしている。
 「うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっ!」
アスフは雄たけびを上げながら男のモビルスーツに突進した。男は完全に油断していた。男のモビルスーツは横倒れになった。
「な!動いた!?」
男はあっけに取られていたがすぐに機体を起こした。
 「調子に乗るなよ・・・素人がオレに勝てるかぁぁぁぁ!」
男のモビルスーツはビームサーベルを振りかざし迫る。だがアスフは分かっていたかのようにそれを避けた。
「アブねぇ!くそ・・・反撃しようにも武器はないのかよ・・!」
アスフは目の前のキーボードをいじり始めた。アスフは見た目とは裏腹に機械いじりなどは上手でパソコンも使ったりしていた。
「武器・・・武器・・・くそ・・・・これか?」
目の前のモニターに武器一覧が出てきた。
「ビンゴ!・・・ビームサーベル・・・バルカンってこれだけ!?」
 「死ねぇぇぇぇぇっっっ!」
敵はまたも斬りかかって来た。アスフはビームサーベルを即座に取り出し構えた。
「ガァァァァッァ!」
男のモビルスーツがビームサーベルを強震した。だがこれもガンダムはひらりと避けた。
 「今だ!」
相手の一瞬のスキを見逃さなかった。ガンダムのビームサーベルは男のモビルスーツを深く貫いた。男はモビルスーツとともに散った。
「やっ・・・・・た・・!」
 アスフは勝利したのだ。敵軍のモビルスーツがみな凍りついた。敵は再認識したのだ。今自分たちの前にいるのはまぎれもない『ガンダム』であることに。そして同時に地面が揺れていることに敵は気づいた。そして敵は地面から何かでて来ることを悟った。考えた通り地面が割れ戦艦が姿を現した。そう、それはペルセウスだ。
 「ペルセウス、浮上完了だ!」

 

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